王様、一部始終を語る

家臣が柔らかい猫キャリーを先に用意したのが敗因だと思うのだ。
ごまふくは即座に警戒態勢をとったのだ。
その後の逃走に次ぐ逃走ぶりは、猫ではなくってネズミみたいだったと家臣は言っておった。
(余はネズミを見たことがない)
家臣が病院に今日は連れて行けませんと電話をしたら、途端にごまふくは心も晴れ晴れ余と
遊び始めた。
家臣におこた越しに、手をばたばたさせつつの無助走その場ジャンプを披露した時なんか、
家臣は「それまでは、ごまふくって阿呆に毛が生えたみたいって思っていたけど、
翼まで生えてたとは知らなかった」と言っておった。
心配された絶食による夜中の大騒ぎは、雨だったことや夕方の逃走に力を使い果たしたことも
あってか、起こらなかった。嘘みたいに家臣のお布団の上や中で、家臣にくっついてすやすや
眠っておった。
明け方また家臣をかわいい声で呼び出して少し甘えておったけれど、その後もすぐお布団の中に
潜って寝ておったし、夜に関しては家臣の心配は杞憂であり、結果的には入院の必要はなかった
ということになるのだ。




      \ つづくのだ /





かわいいふりをするごまふくをお楽しみください。